2014年01月14日

武蔵屋(野毛)

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今日は誕生日だった。

仕事も落ち着いている時期なので、とりあえず休みを取ってみることにした。
休みを取ったところで何もすることはないし、一緒に過ごす人がいるわけでもない。
このままだと誕生日だからってなに休みとかとってんのーばかじゃないのーー死んじゃえばーーと自分を罵倒し続けることになると思い、なにか理由を考えねばと思った。
ちょうど免許の更新をしなければならなかったので、とりあえず免許の更新に行くことにした。
だがそれだけではあまりにも虚しいと思って、そのままどっか行くことにした。
神奈川県の免許センターが横浜らへんにあるので、これは…!と思い、前々から言ってみたかった野毛の武蔵屋に行くことにした。
武蔵屋は火、水、金の三日間しか営業していない、かつ営業時間も短いので、近くで仕事をしていたりしないかぎりなかなか行くことがむずかしい。
今日は火曜日。いける…!

優良な俺は免許の更新をさくっと済ませ、横浜のディスクユニオンで銀杏ボーイズを買って野毛に向かった。

武蔵屋の開店時間は17時だが、16時20分という微妙な時間に野毛についてしまった。
ぶらぶら散歩して、ソープに目もくれず、開店15分前に武蔵屋に行くとすでに15人くらいの行列ができていた。
店には看板などなく、外観はただの古めかしい一軒家。こんなところに行列を作っている様は、なにも知らない人にとっては奇妙な光景だろう。
1回転目で入れるのか心配になったが、ちゃんと入ることができた。

今日は写真は撮っていない。あらかじめそう決めていた。
写真を撮るなと言われるのもいやだし、せっかく雰囲気ある場所なのでその場の雰囲気に従おうと思ったためだ。

店に入ると、建物は古いが清潔感があるなんとも落ち着いた空間が広がっていた。
席に着くと、若いお姉さんがコートを預かってくれた。

箸が置かれ、お酒にしますか?ビールにしますか?と聞かれる。
来る前は最初はビールにしようと思っていたのだけど、まわりの人がみんなお酒から始めていたので、なんとなく流れでいきなりお酒から始めることにした。
武蔵屋はお酒を3杯飲んだら終わりなのだが、そのまえにビールを飲むことができる。
次に来た時はビールの小瓶から始めてみたい。

武蔵屋は、料理もお酒をおかわりするごとに1品か2品出てきて、計3杯5品で終わり。
お酒は櫻正宗のみで、料理も毎回同じものが自動的に出てくる。

お酒を注がれる前に一品目のたまねぎの酢漬けが出てきた。
次にお酒のグラスが出され、若いお姉さんがやかんでお酒を注いでくれる。
このお酒を注ぐ瞬間がもうたまらない。高いところからやかんを傾けて勢い良く注ぎ始め、徐々にグラスに近づけていき、なみなみと入れてくれる。美しいとさえ思う。
すぐさま2品目のおからも出てきて、飲み始めた。
料理の感想を言うのが苦手なので詳しくは語りませんが、なんというか、あぁみんなこの味、この感覚を求めて通っているのだなぁというかんじがとても伝わってきた。たまらない気持ちになった。

一杯目が終わったので二杯目を頼むと、また美しい注ぎ方でお酒を入れてくれる。これを見れるのも、もうあと一回か…なんて思ってしまう。
そして同時に3品目のたら豆腐と4品目の納豆が出てきた。
シンプルながらとてもおいしかった。

ここでとなりの70歳のおじいさんが話しかけてくれた。
若い人がここに来てくれるのはとても嬉しいんだよーってとても嬉しそうに話してくれた。
10年以上前から通っているそうで、昔のお店のことをたくさん話してくれた。
そのエピソードの数々を聞いたら、このお店がどれだけ愛されていて、このおじいさんがどれだけこの店のことが好きなのかがものすごい伝わってきて、自分もますます好きになってしまった。

2つとなりのおじいさんが3杯飲み終わり、もう一杯だけ!もう一杯だけお願い!って駄々をこねてお姉さんにだめって言われてた。たぶんそう言われたくてわざとやってるのだと思う。
そのおじいさんとも話したら、必ず入り口近くの端っこに座って、店全体を眺めながら飲むって言ってた。でも、ほんとはお酒を注いでくれる若いお姉さんを眺めていたいからって言ってた。その気持ちすごくわかるよ…。
となりのおじいさんも3杯目を飲み終わり、また会いましょうと言って帰って行った。

最後の3杯目のお酒を頼むと、お新香が出てきた。
ちびちびといただいた。
名残惜しいがこれでおわりだ。

席を立って、90歳を超える店のおばちゃんにお礼を告げ、若いお兄ちゃんにお会計をお願いした。
すると、おばちゃんがもうちょっとだけ飲んで行きなさいっておちょこを出してくれて、注ごうとしてくれるのだが、うまく腕があがらないようで、急いで若いお姉さんが来てくれて、「おばちゃんから」と言っておちょこにお酒を注いでくれた。
ちょっと前にとなりのおじいさんに、この最後のおちょこ一杯が最高においしいんだよって教えてもらったんだけど、本当に最高においしかった。

店を出て、ほんとはまっすぐ帰るつもりがまだ帰りたくないって思っちゃって次の店にむかった。

またいこう。






fushigiproject at 22:48コメント(0)野毛 

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